
番外編 ライヴ・イン・パ−ス
本来ならば1973年1月末の日本公演の直後にこのオ−ストラリア・ツア−が行われる予定だったのですが、ご存知のように日本公演が中止となってしまいスト−ンズの素敵な面々も休養が充分だったせいか、オ−ストラリアはパ−スでの本公演は異常にテンションの高いライヴとなっておりました。 当然ながらこの時代スト−ンズの正規ライヴ盤はリリ−スされていないので、このナイスなライヴアルバムもブ−トレッグであります。 あとで紹介しております名作ブ−ト、ナスティ−・ミュ−ジックが異常な高価で取引されておりましたので、お金のない輩は当時このライヴ・イン・パ−スで溜飲を下げていた次第でありました。 まあ、名作ライヴとは言え違法は違法なのでありますから、正面きってのお薦めはできませんがご多分に漏れず音は最高です。 この時代のブラウン・シュガ−のあのイントロのセクシ−さを何と表現したらいいのでしょうか。 兎に角凄い。 また、ナスティ−・ミュ−ジックには収録されていなかったビッチやレット・イット・ロック、それにロックス・オフやリトル・クィニ−などが聴けるのも魅力でしたね。 今更言うのも何ですが、ブ−トレッグアルバムというシロモノは嵌り込んだらなかなか脱出するのが難しい厄介な魔物でありまして、禁断の蜜の味とでもいいましょうか真面目な御仁は手を出さない方が賢明かもしれません。 何故なら、真面目過ぎる人ほどその魅力の虜になり易いからです。 かく言う私もそうでした。 なんちゃって、冗談はさておきブ−トの魔力は、世界中で自分ひとりしかこのアルバムを所有していないという優越感と錯覚に陥ってしまうところです。 いくらブ−トとは言ってもそこはそれ商売なのですから、当然原価割れをする筈もなく利益を回収するだけの枚数は作ってあるわけで、この世に唯一つのアルバムなんて大金持ちでもない限りありっこないのです。 ましてや音がよければなお更の事。 とはいってもねェ、周りを見渡せばライヴ・イン・パ−スなんて持っている奴は当時は誰も居ない訳で、そこでへっへっへっといった密かな優越感に浸ってしまうのですね。 これが、いけない。 これにやられちゃうともうりっぱなブ−トレッグ症候群です。 特にスト−ンズの場合は魅力的なブ−トが多いですからね注意しないといけない。 まあ、知らずに済めばそれが一番いいのでしょうが、ブ−トという禁断の味を知らずに人生を過すのもなんかつまんないような気がいたしますね。
4. イッツオンリ−ロックンロ−ル 1974年![]()
何とも煌びやかなジャケットで登場したこのアルバムによって、私はまたスト−ンズの世界に呼び戻されてしまいました。驚いたのですがこの頃のスト−ンズというのは毎年のようにアルバムをリリ−スしていたんですね。今では、もう5年に1枚のペ−スになっちゃってるんで以外な気がしました。 でももう彼らも全員50歳を越えているんでしょうがないか。 で、このイッツオンリ−ロックンロ−ルなんですが、一番油の乗り切っていた時期のエネルギ−がアルバムにやっと結集された結果だったと思います。当時のライヴは兎に角凄かったらしくて、キャンセルになった日本公演が今でも行われていればと思わずにはいられません。僅かにレディスアンドジェントルメンというブ-トレッグのビデオにその姿が残されていて、まだ、若かったスト−ンズの妖艶でかつ凄まじい演奏のすべてが記録されています。 こんなこと言っちゃあ失礼ですが今では信じられないほどの演奏力でした。その時代の名作ブ−トレッグアルバム ナスティミュ−ジックに凄まじいばかりの演奏のすべてが収められています。このアルバム一時は数万円もする価格がついていたようですが、今は、比較的安くなったと聞いてます。興味をお持ちの方は一度聞いてみてはいかがでしょう。 洋楽ロック雑誌の通信販売のコ−ナ−とかに時々出ていますよ。まっ、何はともあれこの頃はスト−ンズ40年間の歴史のなかでも絶頂期だったですよね。ギタ−のミックティラ−も自由奔放にやらせてもらってますという感じでのびのびと弾きまくってますし、キ−スのギタ−も円熟の域に入ったかのような味を出しています。 このによってスティッキ−フィンガ−ズ以後からの断層を一気に埋めつくしてくれましたといえるでしょう。1曲目のロックンロ−ル イフ.ユ−.キャント.ロックミ−からシュ−ルなフィンガ−プリントファイルまで一気に聞かせてくれます。1曲、1曲の完成度の高さと、名曲の多さと言ったら前2作と比べものに成らないほどでしたね。普通はアルバムの中に数曲いい歌が入っていれば当たりといえるんですが、このアルバムの場合は全曲が当たりなんです。ただ1つ気がかりだったのは、それぞれの曲が余りにも洗練されていたのでスト−ンズらしいワイルドな土の香りが希薄になっていたことでしょうか。 贅沢な悩みですが。 そして、これ以降 タトゥ−ユ−までこの路線は継承されて行くことになるのです。
番外編 ナスティ-・ミュ−ジック スト−ンズの超名盤ブ−トレッグ![]()
世の中にブ−トレッグと呼ばれるいけないレコ−ド達は数多くあれど、おそらくこのナスティミュ−ジックほどの名ライヴブ−トレッグ盤は見当たりますまい。 正規盤のライヴ・レコ−ドよりもクリア−ではないかと思える音質、当時のスト−ンズの迸るようなパワ−と情念が閉じ込められた演奏、ミック・ジャガ−の官能的なヴォ−カルに絡みつくキ−スとミック・ティラ−のギタ−、そして観客のノリの良さ。 どれをとっても最高級の誉れ高い逸品として世の中にその名を轟かせていたのです。 ただ、当然ながら初回プレス盤などは、その素晴らしさも相まって目の玉の飛び出るような値段で取引されていたとのこと。 オゥ・マイ・ゴッド、いたいけな少年達にはとても手の出るシロモノではなかったのです。 優れたブ−トレッグは高額で取引されるので、当時は巨大な組織や裏ル−トまで出来上がっていたのだと思われます。 摘発されては雲隠れして、また違うところから登場してくるといったようなイタチごっこが繰り返されていたいました。 数年後、CDという画期的な媒体の登場により、リシュ−盤やらコピ−盤やら、そのまたコピ−盤のコピ−盤やら出回ってきて、何やら仁義なにもあったもんじゃないといった様相を呈してきます。 しかしながら、そんなテクノロジ-の進歩と商売っけ丸出しの逞しさのお陰で、シロウトさんでも何とか購入できるような価格に落ち着いて着ました。 本当にそれまでは、雲の上の存在でしたからね。 まったく、あり難いことです。 よかった、よかった。兎に角、このナスティミュ−ジックの素晴らしさと言ったら、スト−ンズの正規ライヴ盤よりもすべての面で遥かに上回って居るように感じてしまいます。 それは一体何故なのか。 多くのスト−ンズ・フリ−クの命題でもあるのでしょうが、ここは1つ私なりの見解を述べさせていただければ、その時代のスト−ンズが凄かったのだという結論に達しました。 おいおい、なんじゃいなと言わないで下さい。 この当時のキ−スとミック・ティラ−の官能的なギタ−の凄さは尋常ではないですよ。 まるで悪魔にでも魅入られたように聴く者を虜にして離しません。 おおげさですが、まさに心を奪われてしまうほどの妖しい魅力だったのです。 おそらくは、心・技・体ともスト−ンズ史上最高に充実した爆発的な時期であったのだと思います。 そして、このアルバムを買った人のサイフも爆発した事でしょう。 そんな凄まじい情念と怨念を記録しているのですから悪かろう筈がありません。 嗚呼、あな恐ろしや。 不思議なのは、なんでこの時期の正規ライヴが発売されなかったのでしょう。 ブ−トレッグなんてと思っていらっしゃる御仁もこれだけは買って損は無し。 借金してでも買うべきでしょう。 ところで、最近はこのナスティミュ−ジック手に入るのでしょうか。
5. ブラック・アンド・ブル− 1976年![]()
アルバムタイトル通り黒とブル−でシックに統一されたいかしたジッケット、そして、いきなりのホットスタッフ。のっけからグイグイとスト−ンズワ−ルドに引き込まれてしまう絶妙な音創り、イッツオンリ−ロックンロ−ルで見事に完成された楽曲の曲創りの他にも、まだまだこんな事だってやれるんだぜと、見せ付けられたような気になってしまいます。世はまさに、ロックミュ−ジックが新しい時代へ突入しようかとしていた過渡期にこの余裕の展開ですから流石ですね。そして、ホットスタッフ、ヘイネグリ−タなどのファンキ−なリズムやチェリ・オ−ベイビ−のレゲエしてもスト−ンズならではの一味違う粋な仕上がりに思わず唸ってしまいました。前作が絢爛豪華なスト−ンズであれば、さしずめ今回は足の下からグッとくるような渋さで纏めてみましたと言ってるようですね。それくらい、本当に地味なのだけれどやたらカッコイイと、何やら言ってることが訳わかんなくなってしまいましたが、例えて言えばう-ん大人の1枚ってとこかな。そして、この曲を語らずして70年代のスト−ンズを語るなと言われるほどの名曲 メモリ−モ−テルを始めとして、フ−ル・トウ・クライと言ったバラ−ドナンバ−もイカしてます。なるほど、ここにきてブラックアンドブル−と言うアルバムタイトルが示す狙いが見えて納得しました。 つまり、前作での完成度の高い1曲、1曲の曲創りから一転して、全体の構成に重点をおいたアルバム作り、それも、徹底的にR&Bやブル−スなどの黒人音楽に徹底的にこだわって仕上げたように思えますね。 それは、このアルバムからミックティラ−に変わって参加したギタ−のロンウッドの影響が大きかったのではないでしょうか。 ロンがフェイセスで演っていた音楽とは若干違ってますが、元々はどちらもR&Bやブル−スからスタ−トしたバンドであったことなどを考え合わせると、なるほどと頷けると思います。ですから、このアルバムは1970年代のスト−ンズのアルバムの中でももっとも統一感のある1枚といえますね。私にしても、数あるスト−ンズのアルバムの中でも、もっとも良く聞いたアルバムのベスト3に入る1枚でした。
6. ラヴ・ユ−・ライヴ
え-実を言いますと、このライヴアルバムについては後日触れようと思っていたのですが、ついつい勢いに乗って行っちゃえという気になりました。 あ-それにしてもアンディ-・ウォ−ホ−ルのジャケットが素晴らしい。 スティッキ−フィンガ−ズといいこのラヴ・ユ−・ライヴといい、アンディ−のデザインはどうしてこうもスト−ンズとマッチしてしまうのでしょう。 私にとってのスト−ンズというのは、誰が何といってももう盲目的にミック・ティラ−時代なのですが、ことスト−ンズ史上最強の布陣ということになるとロン・ウッドが加入してからの20数年間でありましょう。 名作イッツ・オンリ−・ロックンロ−ルで過渡期を脱し、饒舌なる円熟味を見せてくれたブラック・アンド・ブル−は、まさにロン・ウッドあってこそ完成された作品だったと思うのです。
その後の彼らのバックボ−ンとなる、あくまでも黒く重たくずっと沈み込むようなサウンドと土臭くうねるようなファンキ−ミュ−ジックはロン・ウッドの影響も少なからずあった筈なのです。 さて、そのロン・ウッドを配して行われた1975年のアメリカ・ツア−から1976年のヨ−ロッパツア−は、新生スト−ンズとフェイセスよりやって来たロン・ウッドのお披露目ツア−でもありました。 ミック・ティラ-を配した妖艶なる絶頂期ライヴと較べると明らかに官能的な香りや煌びやかさは遠く及ばないのですが、ここには本来スト−ンズが目指していたタイトなリズム・アンド・ブル−スの真髄を極めようとする意思が感じられます。 それこそが彼らの原点と悟ったような潔さ。 さて、この2枚組ライヴアルバムは、のっけから始まるホンキ−・トンク・ウィメンのダルでル−ズなサウンドが当時の彼らの方向性を明示していたのだと思います。 鋭さを意識的に排除して徹底的に黒さと緩さに徹したアレンジは聴けば聴くほど味わい深いものでありまして、何やら蕩けてしまいそうな茫洋とした面持ちがありました。 それはまるで、スト−ンズというとてつもなく旨いス−プに煮込まれてしまったような。 またはひとつ抜けてしまったなといえば当たっているのでしょうか。 兎に角私たちはこのライヴにおける、味わい深いスト−ンズ流リズム・アンド・ブル−スによってノックアウトされてしまったのです。 そして、このアルバムの最大のハイライトであるエル・モカンボ・クラブにおいて繰り広げられたギグこそ、スト−ンズが背負ってきた音楽の魂の証なのです。
7. サムガ−ルズ 1978年![]()
実は、ブラックアンドブル−とこのアルバムの間には ラブ・ユ−・ライヴ ( ラブ・ユ−東京と違いまっせ ) という超名作のライヴアルバムがあるんですよね。 まっ、スト−ンズのライヴアルバムに関しては凄すぎるので、一寸別格扱いをしないといけないでしょうから、いずれまたそのうちに触れてみたいと思います。と、いう訳でこのサムガ−ルズ最初聞いたときの印象は極めて山羊の頭のス−プに近いものがありました。と言う事は余り良い感じは持ってなかったとそういう訳なんですね。 しかしながら、決定的に山羊の頭のス−プと違っていたのは9曲目のビ−ストオブバ−デンの存在です。 これはいい、この曲は本当に最高。 イントロからいきなりおいおい、これはモ−タウンとちゃうんかいなと思わせる黒さ加減。そして絡みつくロンウッドのねちっこいギタ−う-ん多分先入観なしに聞いたら、こいつらモ−タウンの新人ア−ティストかいな、なかなかええやんけ、とついつい関西口調になってしまいそうなんです。このあたり、やはりブラックアンドブル−で一皮剥けた大人のスト−ンズがちらちらしてますよね。1曲目のミス・ユ−も前作の1曲目ホットスタッフからの流れを汲むファンキ−路線の秀作ですし、3曲目のジャスト・マイ・イマジネ−ションもテンプテ−ションズの原曲に負けないほどの、洒落た落着きのある出来栄えとなっております。時は正に、パンクだのニュ−ウェイブだのと言っていた、1970年代も終焉を迎えつつある時期だったのでスト−ンズもちゃっかりとそういった味付けを随所に散りばめていますよね。彼らは恒に時代に敏感でありました。 いいものはいい、いいものはすぐにでも取り入れるといった積極性が今日までの永い間風化せず生き続けて来れた所以なのかなと思います。聞き込んで行くほどに味の出るスルメのような1枚と言っても言いすぎではありますまい。しかしながら、先ほども触れたように全体を通してどうも散漫な印象が強いのは、もしかするとこれも各アルバムからの残ったテイクの寄せ集めなのかなと、そういう気にもなっちゃいますが真実のところはどうなんでしょう。 多分当たりかなという気はしますが。
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