
ナイス
ジェスロ・タル
アトミック・ル−スタ−
エマ−ソン・レイク&パ−マ−
ブライアン・オ−ガ−&オビリビオンエクスプレス
レア・バ−ド
ファイブ・ブリッジス / ナイス
「外なるものは内なるもの、内なるものは外なるもの」と言う普遍的な哲学的命題のように、遥かなる彼方から私たちへと届けられた夢。 それは、遠い日の幻想なのでしょうか。 まるで果かないナイスの世界のように。 キ−ス・エマ−ソンがE・L・Pを結成する以前に、クラシックとロックを融合させてプログレッシヴ・ロックを創造し、そして、後に世界を席巻するE・L・Pのコンセプトを熟成させたバンド、それがナイスであったと思います。 まだ若いと言えばそれまでですが、ここで培われた実験的な演奏と精神がやがてE・L・Pで花開く事になるのです。 若き日のキ−ス・エマ−ソンは作曲面においても既に天才としての資質を開花させようとしていました。 したたかで饒舌なるメロディ−ラインもそのひとつ。 ナイスそのものは、この時点でかなりクラシカルでジャ−ジ−な演奏を展開してますが、逆にそれが新鮮にも聴こえます。 どちらかと言えばロツクというよりも、クラシック色が大変強く打ちださている楽曲も彼の経歴を考えれば無理なからぬことでしょう。 それでも、キ−ボ−ドとリズムアンサンブルの絡みやうねるようなシンコペ−ション、圧倒的な臨場感など、いたるところにE・L・Pの原型が垣間見えていました。 しかしながら、ヴォ−カルはグレッグ・レイクに及ぶはずも無く、その点では若干の物足りなさと線の細さを感じさせます。 蛇足ですが、ナイスの傑作エレジ−のジャケットを見ると、何故かSF映画の名作プリズナ−NO・6を想い出してしまうのは、もしかして私だけでしょうか。 それとも、あなたも。
ジェスロ・タル
何故に人は思索をするのでしょうか。 その、答えが類稀ない彼らの詩情の中に隠されているような気がします。 ブリティッシュ・ロックの重鎮ジェスロ・タルのことを、どんな風に位置付けたらいいのか戸惑う人もきっと多いことでしょう。 トラディショナルな趣とプログレッシヴな旋律、そして時にはジャズのインプロヴィゼ−ションさえ凌駕してしまうほどの演奏力に包まれた彼らの響きは、ロックという音楽を芸術の域にまで高めようとする理念さえ感じてしまうからです。 私たちは、彼らの錬金術のように練りこまれた圧倒的な音の壁の前でただ立ち尽くすのみなのかもしれません。 また、実にイギリス的で前衛的な感性と、いい意味での職人気質が融合したアカデミックな雰囲気は、はっきりと好き嫌いの別れるタイプのバンドだとも思います。 イアン・アンダ−ソンの声も個性が強過ぎますし、その、特異な前衛性故についていけないなと感じてらっしゃる御仁もきっと多いことでしょう。 でも、一度でも彼らの魅力に取り付かれてしまうと、病み付きになってしまう魅力も漂わせているのです。 そのテクニックの高さとアンサンブルの素晴らしさは群を抜いていました。 もともと、イギリスのバンドというのは一つのカテゴリ−では括れない特性があります。 ジェスロ・タルにしても初期のブル−ジ-な時代から、トラディショナルな時を経て、このパッション・プレイというアルバムに代表されるようなプログレッシヴな音楽性へと辿り着きました。 ここが彼らの辿り着くべき場所だったとでもいいたげにです。 さて、そんなパッション・プレイですが、おそらくはデビュ−以来の彼らの最高傑作と言っても差し支えないでしょう。 クラシックバレエを意識して書かれたスコアだと言うことになっていますが、 一筋縄ではいかないイアン・アンタ−ソンのこと、そのまま鵜呑みにする訳にはいきますまい。 その、疾走感溢れる演奏力や見事なまでのアンサンブル、そしてプログレッシヴなコンセプトの素晴らしさと、どれをとっても一級品の仕上がりとなっています。 個人的には、次の作品であるウォ−・チャイルドが好きで、1番聴きこんだアルパムなのですが、どれか1枚を薦めるとなると、やはり、このパッション・プレイに尽きると思います。 何故なら、ここで結実された世界がジェスロ・タルの求め続けていたものだからです。