日本でポ−ルボウルズという作家をご存知の方はそんなに多くはないのではないでしょうか。 アメリカ人でありながら、ほとんどの生涯をモロッコで過し、本国アメリカに置いてさえ異端の作家と呼ばれているくらいですから。 なんで、その作家がロックと関係あるのかと言いますと、正直言いまして余り関係あるとは言えません。 おいおいと思わないで下さい。実は、レッドツェッペリンの3枚目のアルバムの中にタンジェリンという曲がありまして、これが実はモロッコの一都市タンジ−ルのことを歌っているのだと聞きました。 聞きましたという曖昧な言い回しをするのは、実はまだ直訳を確認してないからであります。 おいおいと思わないで下さい。地の果ての国タンジ−ルのことを歌うなんていかにもレッドツェッペリンらしいじゃないですか。 それに、ポ−ルボウルズの人生そのものが非常にロック的なんです。 日本では知られていませんが、第二次世界大戦後タンジ−ルには国際管理地帯という所があって早い話が、そこは何でもありの非常にやばいところであったらしいのです。あったらしいと曖昧な言い回しをするのは、まだ、確認を取ってないからであります。おいおいと言わないで下さい。 謎めいたモロッコのいかにも不思議な都市らしいではないですか。 1947年にポ−ルボウルズタンジ−ルに住みついてから後、多くの作家や文化人達がタンジ−ルに集まり、1つの時代を築き上げていったとのことです。 なんでそんな辺境の地にと思いますが、何せ兎に角物価が安かったらしいですね。 だいたいに置いて作家というのは、売れるまでは貧乏な人が多く (  当たり前じゃん )気候も良くて住み易かったタンジ−ルというのは十分に魅力的だったことでしょう。おまけに、地図で見ると分かるようにヨ−ロッパにも非常に近い。ジブラルタル海峡を隔てたすぐ上はもうスペイン、フランスなんですから。何か事が起こった場合には、すぐヨ−ロッパへ逃げれちゃいますよね。 ここらあたりポ−ルボウルズも結構計算高かったりして。 違うかなあ。 まあ、それはいいとして、タンジ−ルの街の中のある区画にメディナという怪しげな所がありました。そこは、昼なお暗い建物と建物の間を、通路が迷路のように入り組んでいたらしいのです。らしいのですと断定的に言えないのは、実は私まだモロッコへ行ったことがないからです。 おいおいと言わないで下さい。 大抵の人はモロッコへ行ったことないですよ、そうでしょう。 まっ、何はともあれなんかこの辺も非常にロック的ですよね。 一寸とこじつけすぎでしょうか。 そんなポ−ルボウルズの小説というのは、当然ながら異国情緒たっぷりの怪しげな世界が展開していきます。 エドガ−アラン.ポ−にも通ずる幻想的な空間は一度虜になるともう病み付きになってしまいますよ。 丁度ツェッペリンの聖なる館あたりの世界とリンクしていくんですねこれが。 モロッコ辺りでは今も海を渡る風が異国の夢へとあなたを誘ってくれるはず。 もし、モロッコヘ旅する時にはレッドツェッペリンの5枚目 聖なる館 をお忘れなく。

コラソン寄港

日本の白水社より出版されているポ−ルボウルズ作品集というシリ−ズがありまして、多分私の知る限りでは日本における彼の作品集の中で最高のシリ−ズではないかと思っております。ポ−ルボウルズという決して日本ではメジャ−ではない作家の書籍を全6巻も刊行するというのは本当に大変なことではなかったのかと思いますし、元は取れるのだろうかと心配にさえなってしまいます。ここに白水社の出版社としての良識を強く感じてしまうのは私だけではないはずです。白水社エライ。 そのポ−ルボウルズ作品集の第1集遠い木霊という本の最初の作品として登場するこのコラソン寄港という小説が私達をポ−ルボウルズのシュ−ルで不思議な世界へと導いてくれます。映画の内容を先に知ってしまうとまったく面白くなくなってしまうのと同じで、小説にしてもその内容の多くを知ってしまうとその魅力が半減してしまいます。 ですから多くは語りませんがエンディングのえもいわれぬ切なさと、それでもなお希望に溢れ明るさに満ちていることか、果てしない力に導かれるかのように主人公は新たな旅を目指して行きます。それは幾多の人にも訪れる人生の分岐点にも似て。

続     く
      


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