ここでは、先ほどのアルバムの中から何枚かをピックアップして紹介してみます

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1.フィジカルグラフィテイ

言わずと知れたレッドツェッペリンの名作ですね。何でファ−ストやセカンドや4枚目じゃないんだとお思いの方も多いことでしょう。ファ−ストやセカンドについては、ブリティッシュハ−ドロックのコ−ナ−で詳しくふれていきますし、4枚目についてはとても私ごときが紹介するのもおこがましいほど素晴らし過ぎる。結局どれをとっても1級品ということですね。レッドツェッペリンにとって始めての2枚組の大作となったこのアルバム始めて聞いた時は、正直いって彼らの作品にしては何時になく散漫な印象を持ちましたが、聞き込んでいくうちに4枚目と5枚目の聖なる館の間にあったあの断層を埋めてくれたのではないかという気持ちが強くなりました。ほとんどの人がそう思ったように3枚目のアルバムや、5枚目のアルバムのような爆発的な飛躍の度に我々の想像を越えた意外な展開をみせてきた彼らのことですから、今更驚くにはあたりませんが、過去5枚のアルバムの秘密を解く鍵がここに凝縮されていると思います。出色はやはりカシミ−ルでしょう。 ツェッペリンの楽曲の中でも5本の指に入ると思うのは私だけではないはずです。 聖なる館で斬新かつ予想を裏切るような展開を図り、もはや単なるハ−ドロックバンドと呼べなくなってしまった、プログレッシヴなツェッペリンの更なる飛躍を決定づけた名曲です。 蛇足ながらツェッペリンはスト−ンズと並んでブ−トレックアルバムの発売数の2大巨頭ですが、そのブ−トの中にカシミ−ルが入っているか否かで売上が違ってくると聞いた事がありますが、確かにそんな噂の飛び交うくらい素晴らしい作品ですね。イントロののっけから絡み合うシンセサイザ−だかメロトロンだかのアンサンブルの素晴らしさ、そして、まるで嵐の中をストップモ−ションで浮遊していくような不思議な感覚。ツェッペリンの、この当時のライブにおけるカシミ−ルも凄いの一言に尽きますが、ただ単にロックをやり続けて来ただけではこれだけの構成力と完璧なまでの音作りは当然出来ないはずです。 そこにはジミ−ペイジの天才的な能力と郡を抜く感性の鋭さ、そして、恒にマ−ケットを意識できる頭の良さがあったからにほかならないでしょう。アコ−スティクなセットだけでも十分ハ−ドロック以上のサウンドを構築できることを証明し、静と動の対極的な音を両立させ、デビュ−以来凄いスピ−ドで飛び続けてきた飛行船は、さらに、巨大化し悠然として大空に君臨している。正にそう言っても差し支えない程の快作ですね。


2.ジギ−スタ−ダスト

1972年ジギ−スタ−ダストは火星より舞い降りてきた。刹那的な歌声とともに。深夜放送のラジオから流れるスタ−という歌を始めて聞いたときに、懐かしさと新しさが混沌とした音に妙に新鮮な感覚を憶えたのを想い出します。すでにTレックスが一足先に有名になっており、グラムロックの時代が直ぐそこまで来ていた時のことでした。時代が動いていく時はいつもそんなふうに突然に切り裂かれていくものなのでしょう。デビッドボウイという聞き慣れない名前のこのシュ−ルな響きに、新しい何かを期待したのは私だけではないはず。1曲目の5年間からラストのロックンロ−ルス−サイドまで無駄な曲が1曲も見当たらないほどの素晴らしさ。時に激しく、時には官能的にデビッドボウイはジギ−スタ−ダストを演じきっていました。そしてステ−ジの上では恒にスタ−であったデビッドボウイを冷静に見つめていたもう一人のデビッドボウイ。 それが客観的とも思えるほどの計算し尽くされた構成に繋がっていたのだと思わずにはいられません。グラムロックというある意味では華やかであるが故に閉鎖的でさえある世界の中で、それを上手く昇華しきって成功へと結びつける才能。彼こそ正にスタ−マンであり我々が待っていた人なのかもしれないですね。ボウイの切ないヴォ−カルに絡みつくミックの官能的なギタ−フレ−ズ、これがグラムだ、これが未来なんだと痛切に感じたあの日々はもう遠い過去へと過ぎ去っていってしまいましたが、ミックロンソンという名脇役を従えて、あの時代の、あの空間の一瞬の中でしか生まれ得なかっただろう名作を、この2人は届けてくれたのです。
5年間と言う名曲の、心を揺さぶるメロディ−に懐かしさがこみ上げてくるのは年を取ってしまった証拠なのでしょうか。やがて彼らは、その絶頂のジギ−スタ−ダストツア−最終日に突然の引退宣言をしてジギ−スタ−ダストとスパイダ−スフロムマ−スを葬り去ってしまいました。それも至極当然のことだったのか、それとも、一瞬の閃きだったのか、何と言う引き際のよさ。 もう2度と出会えないだろうと思っていたのですが、直ぐにアラジンセインとその姿を変えて帰って来たのは意外な事実でした。
 しかし、あれは一体なんだったかと考えてしまいます。多分考えられるのは、1つの時代を完結することによって永遠にその栄光を形作りたかったのではということ。そういえば、この人ほど舞台に置けるパフォ−マンスを恒に意識したロッカ−は居なかったのですから。


3.クリムゾンキングの宮殿

おどろおどろしいジャケットを始めて目にした時、何なんだこれはといった衝撃が貫きました。視聴してみて2度びっくり。1968年当時こんなに先進的でかつ、ロックを芸術的な領域まで推し進めようとする音作りができるなんて驚愕でした。なぜならまだ、シンセサイザ−もメロトロンも一般的な時代ではなかったのですから。 決してコマ−シャルとは言えない、しかし、1度聞いたらその不思議な魅力とアバンギャルドな音に取り付かれてしまいます。ビ−トルズのアビィロ−ドをイギリスのヒットチャ−トのNO.1の座から引きずり下ろしたというのも頷けるというもの。こんなアルバムがNO.1になるのだから当時のイギリスという国も凄いというか、先進的な気質が溢れ新しい時代を築き上げるのだという想いが感じられます。そして、このクリムゾンキングの宮殿は21世紀の精神異常者というキングクリムゾンの名を決定づけた名曲から幕を開けていきます。イコライザ−を掛けたと思われる異様なボ−カルと重厚なサウンドの嵐にぶっ飛んだ人も多かったはず。私もこれにやられちゃいました。音の生み出すダイナミズムを最大限に発揮したこの名曲により彼らの名声が確立されたといっても差し支えないでしょう。今でこそキングクリムゾン イコ−ル ロバ−トフリップと言うのが定説ですが、当時はいきなり現れたこのプログレッシヴ集団をどうとらえていいのか分からないで、まるで揺れ動く不安定な心情のように、戸惑いながらもその危うい魔力に取り付かれてしまった人もかなり多かったはずです。その傑出した音の創造性は遥か宇宙へと登りつめているのか、それとも、心の内面へと深く掘り下げられているのか解からないほど複雑でしたが、結局両者の接点は出発点と終点でいつの間にか繋がっているという不思議な関係が成り立つのではないでしょうか。混迷こそ我が墓標名 というあまりにも有名なフレ−ズでプログレファンを魅了した叙情的なエピタフ。当時、コンフュ−ジョン.ウィル.ビ−.マイエピタフという英語のフレ−ズをそのまま言えることがプログレファンの1つの自慢でもありました。思えば古きよき他愛ない時代だったともいえます。しかし、バラ−ドと言ってしまうにはあまりにも美し過ぎるこの曲は21世紀の精神異常者と対極をなす静のキングクリムゾンそのものなのです。また、グレッグレイクの温和な声が叙情的なメロディ-と壮大な曲風によく似合ってましたよね本能的に皆なが持っている知的なプライドを擽るかのように、シュ−ルで不思議な響きは我々を魅了してしまいました。かつて私の尊敬する渋谷陽一氏がキングクリムゾンのレッドを評して 親の薬代を削ってでも買うべきアルバムと言われた名言がありますが、このクリムゾンキングの宮殿にもその言葉を送る事をお許しいただきたいと思います。そして、デビュ−作にして最高傑作をものにした彼らの不幸はここから始まったと言えるでしょう。何故ならキングクリムゾンの永い旅は21世紀に手が届こうかとしている今もまだ続いているのですから。


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